血が止まらない難病(ITP)の私が親知らずを抜く話の第3回目です。
大学歯学部病院に入院となり
初めて『教授回診』というものをナマで見たあと、
いよいよ手術がはじまります。
手術といっても、歯を抜くだけです。
手術室ではなくて、
外来診察の時に入った大きな診察室(診察台が十数台並んでいたと思います)
の診察台(街の歯医者さんと一緒の形)に座り歯を抜きます。
担当は外来の時に見て下さっていた女性の先生。
入院前の外来時に、手術時に必要になるかも・・・と、言うことで
その女医さんは、
「免疫グロブリン」という血液製剤を用意してくれることになっていました。
止血ができない場合に使うかもしれないからと、
薬品についてくる添付文書をコピーして入院前の外来時に
私に渡してくれて
丁寧に説明してくれていました。
歯を抜くだけなのに、
血液製剤の点滴まで事前に用意してくれていて(特殊な薬なので取り寄せたそうです)
さすが大学病院だな。と、感激したものでした。
さて、診察台に座り、ウィーンと横になったら
水色のシートに丸く穴をくりぬいたものを顔にかけられました。
あの、医療ドラマの手術シーンで、メスで切るところだけ患部が見えるようになるアレです。
こんな説明でわかるでしょうか・・・
顔にかけられて口だけだした状態です。
つまり、私は周りの様子が見えなくなりました。
すると
「おーぃ、ITP(アイティピー)やで」と、声がしました。
↑
これは私の病名です。
そしたら、ぞろぞろと人の気配がして、私の周りを囲んでいるようです。
見えないけど、人が自分を取り囲んでいる気配はするのです。
よく聞こえないけど、みんなで私の口の中を覗いてる・・・
こわーぃ
いまの私はSLEという自己免疫疾患の難病になっていますが、
その当時の病名はITPで、
なぜだかITPだった時は
このように「珍しい患者が来た」と、人(医療者)が集まることがちょこちょこありました。
いまのSLEになってからは、そんなことはほとんどありません。
ITPだからと言って、口の中がいつも出血しているわけでもなく、
見た目にはITPの特徴なんてないんです。
でも、みんなで覗いていきました。
1〜2分だったと思いますが、みんなにのぞかれるのが終わり、
やっと、抜歯にかかります。
歯茎に麻酔の注射をして、
・・・
・・・
・・・
うぅぅぅ、
麻酔がすぐに効いてきて、めちゃめちゃ苦しくなりました。
心臓がばくんばくんと動悸がして
息も吸いにくく苦しいのです。
ちょっと冷や汗な感じで「どうしよう・・・」と、
数十秒我慢していると、
マシになってきたので
そのまま抜歯へと進みました。
(麻酔も怖いです)
この時ははじめての抜歯です。
親知らずは、私には実は2本生えてきていました。
まずは化膿を起こしてしまい、ほっぺたがパンパンになってしまった
一本目を抜いているところです。
この一本目は、抜歯自体はあまり難しくありませんでした。
素直に抜けてくれて、
そして、心配していた出血もそれほどたいしたことはなく、
先生が用意してくれていた「免疫グロブリン製剤」も使うことはありませんでした。
抜歯後は、何も食べられなかったと思います。
お風呂ももちろんダメで、
大学病院の緊張感と、抜歯の緊張でぐったり疲れてしまった私は、
病院のベッドで爆睡していたと思います。
一夜明け、
病院の朝を迎え、朝食がやってきました。
病院食とはどんなものか・・・と、
わくわくそわそわ待ってると
私のベッドに運ばれたのは、
湯飲みが3コだけ。
「え!!なんじゃこりゃ〜」って感じ。
1つの湯飲みに、おかゆの上澄み液
2つめの湯飲みに、お味噌汁の上澄み液
3つめの湯飲みに、牛乳
以上。
驚きの、病院食でした。
抜歯後で噛めないからしかたないですが、もうちょっと固形物が欲しい
私はお腹すいてるんだよーーーっ(怒)
という心の叫びを心にとどめて、湯飲みを1つずつすすって終わりました。
その後、同部屋の女の子達に別れの挨拶をして
抜歯してくれた女医さんの診察を受けて、
消毒してもらい、
一階に降りて
抗生剤やら炎症止めやらの薬をもらい
退院手続きをして無事退院しました。
この日はまず1本だけ。
うまく行くかどうか、ひとまず化膿してしまった方を抜いたのです。
あと一本は、この抜歯が落ち着いてから改めて抜きましょうという事になりました。
1本目は大出血を起こすこともなく、
このように無事に抜けましたが、
はじめての大学病院の入院に、いろいろと驚くことがありました。
親知らずの抜歯という、簡単なことのように思いますが
血が止まらない私は、
この女医さんにいろんな準備をしてもらい、
入院までさせてもらってしっかりケアしてもらったので
安心して抜くことができました。
薬についても、内科の主治医に確認してもらい、
内科と相談しながら決めてくれたようでした。
本当にいい先生にあたったなぁと幸運に感謝しています。
出血傾向がある病気の方の抜歯について、
私の体験が何かのお役に立てましたら幸いです。
私自身は、ITPが15歳で発症してから歯の大きな治療が怖くて
特に抜歯なんて・・・と、怖くて
「親知らずが生えませんように」と、祈っているぐらいでした。
祈っていても、生えてきてしまったんですよね。
それでも街の歯医者さんに行くのをためらって、
なかなか歯医者に行かなかったら、そのうち化膿してしまったのでした。
(私ったら体力ないのに大学の卒業旅行で無理してしまって、旅行から帰った日からパンパンに腫れ上がってしまったのです)
で、このまま置いておけるような状態じゃなかったので、
思い切って、大学の歯学部病院へと直行したといういきさつでした。
そして二本目。
1本目がうまくいったので「もう入院しなくても大丈夫でしょ」という先生と私の判断で、
外来で抜くことになりました。
しかし、2本目は、抜くときにとーーっても手こずりました(>_<)
2本目のことはまた別の機会に書きます。
みなさまも親知らずにお気をつけてくださいね。
長文お付き合いくださりありがとうございましたm(_ _)m
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